2012年4月23日月曜日

洗脳のシステム


上杉隆氏のヘッペンハイムでの講演

本文はこちら:http://www.morgenweb.de/region/bergstrasser-anzeiger/region-bergstrasse/auch-nach-fukushima-gehirnwasche-hat-system-1.544200

テレビジャーナリスト、上杉隆氏は、歯に衣着せず率直に意見を言う日本では数少ないジャーナリストだ。東京にある放送局TBSの番組で、彼は2011年3月に、影響力の大きい電力会社東京電気に対し、情報隠蔽をやめて、福島事故による放射能の情報を日本国民に正しく伝えるように要求した。それからすぐに彼はその番組から降ろされ、番組も中止になった。

フクシマの事故が起こるまで、彼は原子力エネルギーとはなんのかかわりも持ってこなかった。今では彼は、東電の最大の批判者である。彼は本を書き、誰でも参加できる自由な記者会見を組織し、世界に故郷の状態を知ってもらうべく、情報活動を行っている。

ヘッペンハイムでの滞在

BUND(環境・自然保護団体)会長ギド・カールと環境問題担当牧師フーベルト・マイジンガーによるエネルギー転換政策に対する意見

「原子力ロビーの方法は世界中のどこでも似通っている」と言うのは、ベルグシュトラーセ地区のBUND会長、ギド・カールだ。だから市民がそれに対処するかにかかっている、と彼は言う。「日本ではまだ人々がそこまでたどり着いていないようだ」。いくつもの大事故を経て、原子力反対運動からエネルギー変換政策の実現に至るまでドイツでも、なんと40年もの歳月を要した、と彼は話す。

再生エネルギーへの転換では、政治が実現しようとする速度より、市民の方がもっとスピードを上げるよう要求している。「想像していた以上のことが可能なのです」とカール氏は、国内の電気供給でまったく新しい質のあり方が可能であることを予告している。つまり、中央からの大手電力会社による供給システムから脱し、非中央の数々の発電所からの細かい送電網を実現することだ。

フーベルト・メイジンガーはヘッセンおよびナッサウのプロテスタント教会(EKHN)の環境問題担当の牧師で、エネルギー転換を、キリスト教信者としての努め、倫理的価値の基礎であると理解している。それこそ神の創世を守ることであり、未来に生まれ育つ世代の生きる権利を保証することに他ならない、と彼は主張する。人間は個人としてあらゆることを動かしていくことができるはずだが、それでも社会的構造を変革せずにはそれは到達できない、と彼は言う。

上杉氏とのインタビュー:「批判者は監視されている」

上杉隆氏は日本のジャーナリストで、自由報道協会の会長であり、「ジャーナリズム崩壊」などの本の著者である。ベルリン在住の通訳者、栗原雅美氏にインタビューを通訳してもらった。
上杉さん、ジャーナリストとして、日本の検閲にどのように対処していますか?
上杉隆:「日本では、政府による検閲だけでなく、国内のマスメディアの中で、自粛、という自己検閲が存在します。政府や東電などとグルになっていない独立したジャーナリストは、一握りしかいません。炉心溶融の危険について批判的な報道をするものは、これはフクシマ以前でもそうでしたが、職を失ったり、キャリアを阻まれたりするのです。
上杉さんは個人的にどのような経験をしましたか?
上杉:私は日本の朝日ニュースターで6年間キャスターを務めていましたが、批判的な報道を何度かした後に、降ろされました。この番組に携わっていたスタッフの30人あまりの同僚も同じ目に遭いました。
日本政府に対し、海外でもオープンに批判をされていて、日本で個人的に危険を感じることがありますか?
上杉:身の危険は感じません。しかし、もちろん、体制批判者というレッテルを貼られているわけで、細かく監視されていることは間違いありません。ですから、間違った非難を受けることがないように気をつけています。


それは具体的にどういうことですか?
上杉:私は外では一滴も酒を飲みません。また何年も前から公共の交通機関に乗ることも避けています。日本では性的嫌がらせをでっちあげた冤罪行為がとても多いのです。
自由報道協会はこれから何を行っていくつもりでしょうか?
上杉:私たちはこれからも真実を報道していくつもりです。政府側からどんなに、捏造、嘘つき、パニックを起こす、と批判され続けても、です。電力会社の影響はとても強く、批判的なものは日本のメディアシステムの中ではまったく勝ち目がないのが実情です。

今日の格言:
「いくつもの大事故を経て、原子力反対運動からエネルギー変換政策の実現に至るまでドイツでも、なんと40年もの歳月を要した」 
──BUND会長ギド・カール

1週間のドイツ滞在の最後の場所として、上杉氏は火曜日にヘッペンハイムを訪れた。「ハウス・デル・キルヒェ」で彼は原発事故周辺の現状、マスコミの情報隠蔽・操作、あるいは「国民白痴化戦略」について語った。彼を招待したのは、日本の状況をドイツのエネルギー転換と共に社会政治的問題に関連付けている、プロテスタント教会のベルグシュトラーセ教区だ。講演の司会を務めたのはこの教区で社会責任担当であるバーバラ・ケーデリッツ氏だ。たくさんの聴衆を前に上杉氏は、人気のあるテレビのニュースキャスターから原子力ロビー反対運動家になっていった経過を語った。それは、ただ「はっきり」と物事を見ようとしたからにほかならず、東電の御用学者である「専門家」たちの言っていることに満足できなかったからに過ぎない。

「日本では原子力は安全で、クリーンで、安価である、と皆叩き込まれています」と彼は言う。このプロパガンダは学校で始まるという。こうして、原子爆弾を2つも体験した国である日本が、原子力エネルギーの利用に関しては、なんの疑問も持たずに来たという。

禁じられた写真

ヘッペンハイムで上杉氏は、現在の放射能の濃度が書き込まれている日本の地図を見せた。「日本ではこれを知っている人はほとんどいません」。3号機が爆発して煙を出している写真も、海外のメディアではすでによく知られた写真である。これも、事故から1年経った日本ではこの写真はまだ公開許可されていないという。「3号機では爆発はなかったことになっています」と上杉氏は言う。この写真を公表してしまえば、矛盾がはっきりしてしまう。独立した事実は、インターネットでしか得られない、という。しかし、官庁はそのような「好ましくないサイト」を「不正なニュース」であるとして削除しようとしている。ワールドワイドウェブは、「不正確で低俗なメディア」であり、ただパニックを煽っている、というように大々的に批判されているのだそうだ。

同時に、政府は、プルトニウムで汚染された水は、飲んでも尿からすぐ排出されるので、健康に問題はない、というような情報を拡散している、という。妊婦や子供たちには、放射能で汚染された場所に戻っても大丈夫だ、と告げたという。子供たちは、放射線量が、原子力発電所作業員の1年間の被爆許容量より4倍も高い危険区域で普通に遊んでいる。20キロ以内の立ち入り禁止区域ではまだ1千万ベクレルという値だ。

福島地方の3700人の子供たちを対象とした調査で、30%以上が甲状腺の高度の機能障害を確認されたという。そして学童の中で心筋梗塞で亡くなった例がすでに何件かあるということだ。

1500人の反対運動

このようなよからぬ情況を暴き、報道するものは畏縮させられる。それは上杉隆氏も同じである。東電から日本のマスコミに年間8億8600万ユーロという金額が流れる、と彼は語る。多額の広告費、そして報道内容に対する多大な影響力。ジャーナリストは現実を見ていても、それを報道したがらない、という上杉氏は、今日では放射線量の高い地域から人々が避難するのを援助するグループを応援している。

小さいメディアで行うことを余儀なくされてはいても、ジャーナリストとして彼は、日本の現状について報道を続けている。たまには反応もある。たとえば、フクシマの事故後、別の原発がまた再稼動させるに当たって、原子力エネルギー利用に反対する人たちが1500人、反対を訴えたことである。「ドイツから見ればこれはとても小さい数字かもしれませんが、日本の感覚からいうと、これは注目に値します」と彼は言う。

上杉隆氏は、海外からの声が弱まらないことを希望している。日本はヨーロッパからの意見をとても気にしています、と。「放射能」という言葉はフクシマ周辺では耳にしない言葉だそうだ。

記事:トーマス・トリッチ
翻訳:無限遠点
© Bergsträßer Anzeiger, Donnerstag, 19.04.2012

2 件のコメント:

  1. NHKで6年間キャスターをしていた?
    そのNHKって、脳内放送協会の略なんじゃないですか。

    3号機爆発の瞬間を報道している新聞↓
    http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110314-OYT1T00313.htm
    テレビでも爆発の瞬間の映像が流れてたのに。
    911の飛行機が突っ込む瞬間やビル倒壊の様子の放送が自粛されてるように、今では放送されないけど放送が禁止されているわけじゃない。

    福島地方の3700人の子供たちを対象とした調査で、30%以上が甲状腺の高度の機能障害を確認されたっていうのも嘘。
    ソースは何なんだ。

    ドイツ人なら嘘を並べ立てても分からないからって嘘をつきすぎ。

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  2. 元のドイツの記事の質があまりよくなさそうですね。
    上杉氏はNHKのキャスターを6年努めたことはないです。
    2号機と3号機の誤表記のようにも思えます。
    福島県の3700人対象の甲状腺検査の結果は30%に「しこり」などが見つかったが異常なものではなかったようです。県の発表ですので矮小化されてる可能性は含みますが。これに対して上杉氏が高度の機能障害が確認されたとのを発言してるのを私は見たことがないです。

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