2012年3月12日月曜日

フクシマ原発事故より一年:災害はまだ終わっていない

「フクシマ」が全世界に行き渡り「チェルノブイリ」と同じような意味で定着してから、1年が経つ。ドイツでも「1周年」を記念して、あらゆる記事・番組が相次いでいる。その一環で、この記事は、「日本政府に対し『国を開け』という訴え」を行っていることから、それに共感して翻訳した。
去年、フクシマの事故があって毎日大きく報道された地震・津波・原発事故の様子があっという間にドイツのメディアから姿を消したのは、独裁者ガダフィを「糾弾する」戦争がすぐそのあと起きたからだ。あの時、ガダフィは「自国の非武装の市民たちに発砲し殺戮する冷血な独裁者」として武装介入され、滅びることとなったのだが、その是非はさておき、非武装の市民たちを「武器で殺戮」しないまでも放射能の垂れ流しと保護を怠った「過失」でいわば「見殺し状態」にしている大企業や政府に対し、「人権」の立場から日本を国際的に糾弾し、一人でも多くの人間を救い、被害を少なくするために動き出すことはできないのか、と思わずにはいられない。もちろん、「外から」の救いを待つのは、陳腐な甘えに過ぎないといわれればそうかもしれないが、この際、甘えでもなんでもいい、これ以上日本政府や東電になにを期待しても無駄ならば、せめて国際的な圧力で少しでも多くの人間を救ってほしいと思ってしまう私だ。
本文はこちら:http://www.hannover-zeitung.net/aktuell/vermischtes/47195109

フクシマ原発事故より一年:災害はまだ終わっていない

3月11日で、日本がまず大規模な地震と津波に襲われてから一年が経つ。その自然災害がその次にはフクシマ原発では最悪なる炉心溶融事故へとつながった。この一周年を記念に、欧州議会の緑の党の招きで原発反対を訴える人たちが集まり、日本から専門家や市民を招いて日本での事故のもたらした結果や現状を語ってもらい、話し合うこととなった。

欧州議会の緑の党/EFAの議員団代表Rebecca Harms は、こう表明している:「事故から一年経った現在でも福島にある、壊れた原子炉周辺地域の状況はとても収束したとはいえない。破壊した原子炉ではなんども温度上昇が観察されている。風向きによっては放射能が立ち入り禁止区域外の人口密度の高い.場所にも入り込む。フクシマ地方の住民たちは毎日高度の放射能にさらされながら生きており、不安や恐怖を誰と分かつこともできずに暮らすことを余儀なくされている。

私たちは、日本政府に対し、「国を開く」よう求める訴えを支援するものである。原発事故がもたらすあらゆる結果、影響に対処していくには、国際的なタスクフォースの方がよりよく機能できるはずだ。住民の保護、廃墟となった福島原発安定や制御のための努力、そしてさらには除染や廃棄物処理の作業も、それぞれの分野で何十年も経験を積んできた専門家をチームに組み入れて対処する方がより効果が出るだろう。チェルノブイリ事故が起きてから学んだ経験を生かし、日本を救うことができるかもしれない。

これまでは日本政府からは国際原子力機関にしか介入の要請が入っていない。しかしこの国際原子力機関(IAEA)はこの事故の規模もその影響も、過小評価してきた。フクシマ原発事故を日本の原子力技術と安全文化だけの問題だと思わせようとするのは、陳腐なトリックだ。このIAEAは日本だけでなく世界中で、人間の安全を真剣に心配するより、ずっと原子力産業の利益の方を配慮して行動してきている。EU は自分たちの安全のためにも、これら管轄当局の無責任さに対し措置をとっていくべきである。

現在、日本はほとんど「原発なし」状態だ。54基ある原発のうち、たった2基しか稼動していない。この状況を、持続的で本当に安全なエネルギー供給へと方針変換する出発点にしてほしい。それについては、ヨーロッパが今まで蓄えてきた経験をもとに貢献することができるだろう。

EU内でも、フクシマ事故以後の正しい結論を引き出す必要がある。ストレステストは危険な状態を変えたわけではなく、これまでは単に古い原子炉の継続可動を可能にするためだけに行われてきた。この高い危険性を秘めた技術をあきらめて初めて私たちは、「フクシマ」が二度と起きないと確信を持って言うことができるようになる。ドイツのように原子力からの撤廃を決定した国には、それを推進していく責任がある。」

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