2013年3月17日日曜日

原子核物理学者のハインツ・シュミタル氏のインタビュー


ドイッチェ・ヴェレ 2013年3月12日付
ドイツのグリーンピースのメンバーで
原子核物理学者のハインツ・シュミタル(Heinz Smital)氏のインタビュー
Deutsche Welle 12.03.2013
Smital: „Immer noch stark kontaminiert“
本文はこちら:http://www.dw.de/smital-immer-noch-stark-kontaminiert/a-16655560


フクシマの原発事故から2年、ドイツのグリーンピースが新たに放射能測定を行った。線量はまだとても高い。核物理学者のハインツ・シュミタル氏がドイッチェ・ヴェレとのインタビューに応じ、福島近辺での危険での生活がいかに危険か、語った。
シュミタルさん、先日福島とその近辺で放射能測定をなさいましたが、どのような結果に達しましたか?
シュミタル:放射能は今もまだとても高いです。福島市には約30万人の住民がいますが、ここには子供たちが遊ぶ公園でもまだ強く汚染されているものがあります。測定値は地面で測ると、原発事故前の200倍です。住民が揃って避難したゴーストタウンで、かなり大がかりに除染作業が行われましたが、そこでは放射線量が下がっていないことを私たちは確かめました。放射線はしっかり地面に入り込んでいるのです。除染作業で20%から50%はよくなったかもしれませんが、それでも線量は高く、とても人が普通に住めるような状況ではありません。
それでも住民がそこに帰還することになっているようですが。
そうなのです。私たちは、この住民が避難した地域に集中して、そこでかなりのエネルギーを使って放射能を森や道路から減らすように努力するその試み自体を批判しています。これだけの手間をかけるなら、すでに住民が住んでいる場所でおこなうべきです。そこには今も住民が住んでいるのですから! そこでこそ、放射線量は低くなるべきです!  それで人々たちもずいぶん助かることでしょう。人々が放射線量の高い地域に帰って、普通の生活が可能だ、ということには非常に懸念があります。
福島の人々はどのように反応しているのですか?
私たちはいろいろな人たちとそこで話をしました。そして日本人がとても土地に対し深い結びつきを抱いていることを学びました。彼らはそこで何世代にもわたって暮らしてきたのです。でも、日本人はまた同時に、とても強い。彼らは泣き言はいいませんが、しかしとても苦しんでいます。できれば前の生活を取り戻したいと誰もが思っている、しかしそれができないのです。
住民たちは官庁から充分に健康に関するリスクについて説明を受けていますか?
ここでは健康に対する危険性はかなり軽視されています、それは克服できない課題だからでもあります。その地方全体、山々、川、海岸をすべて除染することなどできません。今試みられていることは、住民たちに、高度な放射線を受け入れさせることです。そして彼らを不安にさせないために、影響はない、と言っているのです。そういう意味において、原発事故の被害者たちは、再び被害者になろうとしているのです、放射線量に高い場所に住むことを余儀なくさせられる、ということにおいてです。
では、日本政府がこれらの人々たちに充分なことをしてないというお考えですか?
総合的に見て、人々は見捨てられています。賠償金をもらうために、何十ページもの申込書に記入しなければならないのを、私は見ました。ほとんどの人たちは、その形式上の手間があまりにかかりすぎるため、あきらめてしまうのです。粘って闘い続ける力も彼らにはありません。私は、弁護士を雇ってこの2年間に1万5千通の手紙を書いたという男性に会いました。しかし、他の人たちにはほとんど、こうした力はありません。それをうまく利用しているのが東電で、こうして賠償金の支払を節約しているのです。
福島で普通の生活が可能になるまで、あとどれだけかかるのでしょうか?
チェルノブイリでの原発事故後の経験があります。何十年もたった今でも、線量はほとんど減っていません。線量は、主に自然の放射性崩壊で減少します。ということは、放射線は30年後に半減するということです。福島地方はこれから数十年はまだ高線量が続くとみなさなければなりません。これほどの規模の事故を制御しようとするのが、いかに見込みのないことか、これでわかります。原子力というものがどれだけ恐ろしいものかということもこれでわかります。ドイツが原子力から撤退したことは正しいことであり、原子力には世界中で終止符を打たなければならないこともです。
ハインツ・シュミタル(Heinz Smital)氏は原子核物理学者で、ドイツ・グリーンピースの原子力専門家である。

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